02女教皇〜女教皇のカード: 〜冷静な判断力、クラウドファンディング投資の賢明な選択編〜

タロットカード「女教皇」
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ある初夏の午後、柔らかな日差しがリビングルームに差し込んでいた。

マヤは窓際のテーブルに座り、パソコンの画面に映るクラウドファンディングのサイトを興味深そうに眺めていた。

「クラウドファンディングって、…いいかも!」

彼女は独り言をつぶやきながら、そばに置いてあったタロットカードのデッキに手を伸ばした。

「さっそくタロットで占ってみようっと。」

マヤはカードを丁寧にシャッフルし、目を閉じて心を落ち着かせた。

そして、一枚のカードを引き、そのカードをゆっくりと裏返す。

「うん、女教皇の正位置!」

彼女の顔には明るい笑みが浮かんでいた。

カードの美しい絵柄を見つめながら、期待に胸を膨らませる。

「よーっし、さっそく口座開設して、今月の給料分を全部ここに投資しよーっと!」

その時、キッチンから戻ってきた先生がマグカップを手に持ちながらマヤの声に反応した。

「こらーーーっ!!!」

驚いたマヤはびくっと肩を震わせ、振り返った。

「え?先生。占ったら良い結果だったので、やろうと思ってたんですが。」

先生はテーブルにマグカップを置き、腕を組んでマヤを見つめた。その表情は少し険しい。

「タロットは悪くないわ。

今回はあなたの問いの立て方が悪い!!」

マヤはきょとんとした表情で首をかしげる。

「どういうことですか?」

先生は深いため息をつき、椅子を引いてマヤの向かいに座った。

「あなた、クラウドファンディングについてちゃんと調べたの?

タロットは最後の一押しよ。

調べに調べて、それでも迷うとき、自分との対話のためにタロットを使いなさい!」

マヤは少しムッとしながらも反論した。

「クラウドファンディングはリスク分散としていいんじゃないですか?

預金よりもずっと利率がいいし。

景気が悪くなったら株価は下がるけど、クラウドファンディングなら契約時の利率分は償還されるじゃないですか。

だから、余剰資金があれば投資してみればいいんじゃないですか?」

先生は彼女の未熟さを感じ取り、厳しい口調で答えた。

「甘い!!」

その言葉にマヤは一瞬たじろいだ。

先生は遠くを見るような目で過去を思い出す。

「私も昔、最大手級のクラウドファンディングに投資したことがあったわ。

正直言って、3〜6%の利率は魅力的だった。

ファンド募集の予告時間が表示されたら、その時間の5分前からパソコンの前で待機。

それでもあまりの人気に秒殺されたこともあったのよ。」

マヤの目が輝く。

「へー。そんなに人気があったんですね、めちゃくちゃ魅力的じゃないですか!」

先生は彼女の反応に苦笑しながら続けた。

「ところが、同じく最大手クラスのクラウドファンディングが業務停止命令を受けたの。

クラウドファンディング自体の歴史が浅く、かなりの会社が業務改善命令を受けているという現実があるのよ。」

マヤはその言葉に驚き、表情を曇らせる。

「そうなんですか…」

先生は静かにうなずいた。

「私もいくらか投資して、幸い全額表示されていた利率通りお金が戻ってきたわ。

でも、投資している会社が倒産して、お金が戻ってこないかもしれないって考えたら、生きた心地がしなかった。」

彼女はマヤの目を真剣に見つめて問いかけた。

「あなた、普通預金と同じ気持ちで預けて、その結果会社が消えてそのお金が返ってこなかったらどう思う?」

マヤは言葉を失い、視線をテーブルに落とした。

「クラウドファンディングにはそういう危険性もあるの。」

先生の言葉が静かに響く。

「うう…軽率でした。」

マヤは小さな声でつぶやいた。

先生は優しく微笑み、彼女の手にそっと手を重ねた。

「わかったら、もう一度自分で調べてみなさい。

そして、メリットとデメリットを考えながらもう一度タロットをしてみなさい。

カードはしっかり応えてくれるわ。」

マヤは顔を上げ、真剣な表情でうなずいた。

「はい…。ありがとうございます、先生。」

***

数日後、マヤは自分の部屋でノートパソコンを開き、クラウドファンディングについての情報を熱心に調べていた。

机の上にはメモ帳が広げられ、メリットとデメリットが箇条書きで書かれている。

「メリットは…高い利率、資金の分散投資が可能。

デメリットは…元本割れのリスク、会社の倒産リスク…。

うう…投資した分が返ってこなくなる可能性があるかもしれない、かぁ…。」

彼女は深いため息をつき、目を閉じて頭を整理した。

「よし、占ってみよう。」

タロットカードを手に取り、慎重にシャッフルする。

「『今の私は、クラウドファンディングをやるべきですか?』」

心の中で問いかけ、一枚のカードを引く。

ゆっくりとカードを裏返すと、そこには再び女教皇のカードが現れた。

「え、また女教皇…。

意味は…【賢い選択】、【直感を信じる】…。

うう、これはどういうことなんだろう。」

その時、部屋のドアが軽くノックされた。

「マヤ、ちょっといいかしら?」

先生の声だ。

「はい、どうぞ。」

先生が部屋に入ってきて、マヤの様子を伺う。

「どう?調べてみて何かわかったかしら?」

マヤはうなずきながら答えた。

「はい。クラウドファンディングには魅力もあるけど、リスクも大きいってことがわかりました。

投資したお金が戻ってこない可能性もあるし…。

それで、もう一度タロットで占ってみたら、また女教皇のカードが出て…。

最初は『やっても大丈夫』って意味かと思ったんですけど、よく考えると『直感を信じて慎重に行動する』ってことなのかなって。」

先生は微笑みながらマヤの隣に座った。

「なるほど。よく考えたわね。

それで、どうすることにしたの?」

マヤはカードを見つめながら答えた。

「はい。今回はやめておこうと思います。

私にはまだクラウドファンディングに投資するための知識が足りないし、ファンドの内容を十分に理解していないまま大金を投資するのは怖いです。

カードも『賢い選択をしなさい』って言ってる気がしますし。」

先生は満足そうにうなずいた。

「そうね、それが賢明な受け止め方だわ。

問いが具体的で的確であればあるほど、タロットもより明確な答えを返してくれるものよ。」

マヤは先生の顔を見上げ、感謝の気持ちを込めて言った。

「先生のおかげで、ちゃんと自分で調べて考えることの大切さに気づきました。

タロットはただ結果を見るだけじゃなくて、自分の心を映し出すものなんですね。」

先生はうなずき、優しく答えた。

「その通り。カードはあなたを導くための手段であり、万能な答えではないわ。

だからこそ、あなた自身がどう問いを立てるかが大切なの。」

マヤは明るい笑顔を見せた。

「はい、これからはもっと自分で考えて行動します!」

先生は微笑みながら立ち上がった。

「それじゃあ、今日は美味しいハーブティーでも淹れてあげるわ。一緒に飲みましょう。」

マヤは嬉しそうに席を立った。

「ありがとうございます、先生!」

二人は並んでリビングへ向かい、窓から差し込む夕日の中で、静かな時間を過ごした。

マヤの心には、新たな学びと成長の予感が満ちていた。

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