03 女帝〜無駄を見直して、隠れた資産を発見せよ編〜

タロットカード「女帝」
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ある晴れた平日の朝、マヤは久しぶりに有給休暇を取り、ゆっくりとした時間を過ごしていた。

スマートフォンが鳴り、彼女は画面を見ると先生からの電話だと気づいた。

「もしもし、先生?」とマヤは明るく答えた。

「マヤ、この間貸した本、返してくれない?」

「はい、先生。

あともうちょっとなので、読んでから返しますねー」

電話を切った後、マヤは部屋を見回した。

「あれ?あの本どこやったっけ…」

彼女はリビングや寝室、キッチンまで探し始めた。

「ここにもない。こっちにもない。

おかしいなあ…」

30分が経過し、部屋はさらに散らかっていく。

「見つけたー!」

マヤはようやく本を見つけて喜んだ。

「まさか玄関の靴箱の中にあるとは、盲点だったわ」

***

先生の職場に向かうため、マヤは本をバッグに入れて家を出た。

「先生、ありがとうございました!」

マヤは本を差し出しながら言った。

「絶対に忘れないところに置こうと思って、目立つところに置いといたら、かえって見えなくなる現象に名前ってないんですかねー?」

先生は眉をひそめた。

「本の内容じゃなくて、感想がそれ?

借り物の本だという自覚を持ちなさい、まったく…」

マヤは苦笑いを浮かべた。

「あはは…」

先生は思い出したように言った。

「そういえば、以前頼んでいたものの領収書、持っていたらちょうだい」

「はい、財布に入ってるのでちょっと待ってくださいね」

マヤはパンパンに膨らんだ財布を取り出し、中を探り始めた。

「うーんと。えーっと。おーーっと?」

彼女は大量のポイントカードやクレジットカード、レシートを取り出し始めた。

先生の目が驚きで見開かれる。

「マヤ!あなたの財布どうなってるの?

銃で狙撃されても弾が止まるくらい分厚いわよ!」

マヤは照れくさそうに笑った。

「ポイントが無駄になるかと思うと、カードを捨てるのが忍びなくって〜」

しばらく探して、マヤはようやく領収書を見つけた。

「…先生、見つけました!」

「はい、どうもありがとう」

先生は領収書を受け取り、それを見て眉をひそめた。

「この領収書、クッッシャクシャなんだけど。

なにかしら、この茶色いシミは…?」

マヤは申し訳なさそうに言った。

「えへへ、コーヒーです…すみません」

先生は深いため息をついた。

「はぁ〜。あのね、マヤ。

昨日話していた、女帝のカードの解釈。

ちょっとここで言ってみなさい」

マヤは背筋を伸ばして答えた。

「はい!女帝は正位置では豊かさや繁栄を象徴しますが、逆位置になると、過剰な物質主義や管理不足を意味しますね」

彼女は一瞬考え、はっとした。

「…あれっ、今の私にピッタリのカードじゃないですか!?」

先生は満足そうにうなずいた。

「よぉくお分かりねぇ〜。

豊かさを追求しすぎた結果、物や情報が溢れかえり、逆に混乱を招いてしまうこともあると、女帝のカードが教えてくれたでしょう」

先生は続けた。

「マヤ。まずはポイントカードとクレジットカードの整理!

もしかしてあなた、銀行口座は無駄に持っていないかしら…?」

マヤはぎくりとした。

「大学時代に作って、卒業以降一回も見てない通帳があります。3冊くらい。

転職した会社ごとに、給与振込で指定された銀行の通帳もいっぱいあります」

先生は呆れたように言った。

「銀行口座はメインバンクを含めて、1〜2個で十分よ!

1年以上残高も見ていないような口座は解約しなさい!」

先生はマヤをじっと見つめた。

「マヤ。…自宅は片付いてる?

人から借りた本が行方不明になるくらい無駄なものに溢れてるんじゃない?」

マヤは反論した。

「無駄なものなんて一個もないです!

ドーナツの穴にだって意味はあるんですよ、先生!!」

先生はため息をつき、厳しい口調で言った。

「屁理屈言うんじゃありません!

今日一日有給なんでしょう?

今すぐ帰って、不要な物はフリマサイトで売ってきなさーい!」

マヤは慌てて叫んだ。

「すいまっせーーーん!!」

***

マヤは急いで自宅に戻り、さっそく片付けを始めた。

「まずはポイントカードとクレジットカードの整理からだ!」

彼女は財布の中身をテーブルに広げ、必要なものと不要なものに分けていった。

「使ってないカード、こんなにあったんだ…」

次に、古い銀行口座の通帳とカードを取り出した。

「よし、今日のうちに解約しに行こう!」

マヤは複数の銀行へ向かい、解約手続きを進めた。解約が終わり、残高を確認すると、思わぬ金額が表示された。

「えっ、こんなに残ってたの?全部で3万円もある!」

彼女は驚きと喜びで胸がいっぱいになった。

「知らないうちにお金が眠ってたんだ…」

自宅に戻ったマヤは、不要な物をフリマアプリで出品することにした。

「この服、もう着ないし、売っちゃおう」

写真を撮って商品説明を書き、出品すると、すぐに購入希望者から連絡が来た。

「早い!もう売れた!」

マヤは即座に発送の準備を始めた。

「臨時収入ゲットだ!」

***

その夜、マヤはベッドに座り、一日の出来事を振り返っていた。

「先生に言われた通りに行動したら、思いがけない収入があったなぁ」

彼女は女帝のカードを手に取り、じっと見つめた。

「女帝のカードが教えてくれたこと、本当に大切だったんだ」

マヤは心から感謝の気持ちが湧いてきた。

「先生、ありがとうございます。女帝のカードも、私に気づきを与えてくれてありがとう」

彼女はカードをそっとデッキに戻し、明日からの新たなスタートに胸を膨らませた。

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