力〜副業を継続するための内なる強さと秘訣編〜

タロットカード「力」
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夕方、マヤは少し重たい足取りで先生の事務所を訪れた。窓から柔らかな夕陽が差し込み、部屋全体がオレンジ色の光に包まれている。

机の上にはタロットカードが並べられ、独特の静けさが漂っていた。

「おつかれさまです〜、ね、眠い…ふぁぁぁ。」

マヤは大きなあくびをしながらソファに腰を下ろした。

先生は心配そうにマヤを見つめた。

「あらあら、お疲れのようね。コーヒーでも飲む?」

「ありがとうございましゅ〜、せんせ〜。」

マヤは眠気に負けそうになりながらも感謝の言葉を返す。

「昨日は21時から25時くらいまでブログ作成をしてまして。ちょっと睡眠不足なんです〜。」

先生は眉をひそめた。

「あらあら!睡眠不足は体に毒よ。集中力も落ちるし、寿命も削ることになるわ。

日付が変わる前には寝た方がいいわよ。」

「でも、最近ブログ作成をサボりがちだったので、昨日は頑張ろうと思って。」

マヤは目をこすりながら言った。

先生は優しく微笑んだ。

「あなた、本業で十分頑張っているじゃない。

それにプラスしての副業なんだから、身体を壊すほどに頑張ったらダメよ。

毎日継続して、じっくり取り組んだ方がいいわ。」

マヤは少し悩んだ表情で尋ねた。

「ところで、継続は力なりって言いますけど、どうやったら継続ってできるんでしょう?

やっぱりモチベーションが上がらないと、継続ってできないですよね。

最初はやる気満々なんですけど、だんだん成果が出ずに疲れてきちゃうんですよね〜。

で、やらない日が続いて、それに自己嫌悪してなおさら手をつけづらくなって、結局辞めちゃうんです。」

先生はしばらく考えてから、

「なるほどね…。おっと、『レオくん』が出てきたわ。」と呟いた。

「わぁ!ネコちゃんだ!茶色の毛並みがライオンみたいでかわいい〜」

マヤは目を輝かせて猫に近づいた。レオくんは優雅な足取りでマヤの足元に近づき、体をすり寄せてきた。

「飼い主さんが旅行だから、1週間だけ預かったの。」

先生は微笑みながら説明した。

「レオくん、撫でさせて〜。」

マヤはそっと手を伸ばし、レオくんの背中を撫でた。

柔らかな毛並みと温かな体温が心地よく、彼女の心に癒しをもたらした。

レオくんは満足そうに喉をゴロゴロと鳴らし、マヤの手に頭を押しつけてくる。

「やーん、癒される〜もふもふもふ〜。」

マヤは笑顔を浮かべながら、レオくんとの触れ合いを楽しんだ。

先生はその光景を見ながら、「この風景、タロットの【力】のカードみたいね。」と口にした。

「力のカード?女の人がライオンを撫でているイラストですか?」

マヤは顔を上げて尋ねた。

「そう。普通は猛獣であるライオンを、女性が優しく手懐けている絵なの。

これは、外面的な力ではなく、内面的な強さや愛情で困難を乗り越えることを象徴しているのよ。」

先生はタロットカードのデッキから一枚のカードを取り出し、マヤに見せた。

カードには白いドレスを着た女性が、穏やかな表情でライオンに手を触れている姿が描かれていた。

「正位置では、内面的な強さや忍耐力、自己コントロールを表しているわ。

自分の感情や欲望を上手にコントロールし、困難に立ち向かう力を持つことを意味するの。」

「なるほど、外側の強さじゃなくて、内側の強さってことですね。」

マヤはカードをじっと見つめ、深く頷いた。

「逆位置だと、感情に振り回されたり、焦りやストレスでバランスを崩すことを意味するわ。つまり、継続できないと悩んでいるあなたには、このカードが示唆を与えてくれるかもしれないわね。」先生は微笑んだ。

マヤは少し考え込んだ。

「確かに、私はすぐに結果を求めて焦ってしまうところがあります。成果が出ないとすぐに諦めてしまったり…。」

先生は優しく頷いた。

「そう。だから、無理なく続けるためのコツを教えてあげるわ。

【継続する】と決めたら、最初は1日5分でもやればOK。逆に、絶対1日5分はやることに決めるの。

どんなに眠くても、疲れていてもできることを目標に設定することが大事よ。

時間でなくても、【パソコンの電源をつける】だけでも目標にしていいかもね。」

先生は続けた。

「そして、それをやったかどうか30日間記録する。

30日経てば、もうそれをやらないと歯磨きをしてないのと同じくらい気持ち悪く感じるようになるわ。」

マヤは目を輝かせた。

「確かに、作業に取り掛かる前は嫌だな〜と思っていても、いざ取り掛かるとやる気が出ることがあります。

昨日もそれで4時間頑張れたんですよ。」

先生は微笑んだ。

「そう。でも、やる気が出たからと言って、最初の30日間は決めた時間より多くやるのは良くないわ。

『昨日頑張ったから、今日やらなくていいかな』という心理になってしまうから。」

「確かに、そう言ってる自分がリアルに想像できます。」

マヤは苦笑いを浮かべた。

「そして、継続している間はできるだけ自分に対してご褒美をあげること。

『5分副業をしたら、好きなYouTubeを観られる』とかね。」

先生はアドバイスを続けた。

「なんか、それなら継続できそうな気がしてきました!」

マヤは明るい表情になった。

レオくんはマヤの膝の上で丸くなり、眠り始めている。彼の穏やかな寝息が、マヤの心をさらに落ち着かせた。

「よし、先生。具体的に目標を立ててみます。」

マヤはノートを取り出し、ペンを走らせた。

「まず、毎晩寝る前に5分だけブログを書く。そして、週末に記事のネタを3つ考える。

それなら無理なく続けられそうです。」

先生は頷いた。「いいわね。そのくらいの小さな目標から始めるのが大事よ。」

「それに、ブログを書いたら美味しいハーブティーを飲むとか、自分へのご褒美も設定します!」

マヤは嬉しそうに付け加えた。

「素晴らしいわ。継続に、高いモチベーションは要らないの。

低い目標、早めの報酬で自分に『継続するのが普通なんだ』と習慣づけてしまえば、あとは身体が勝手に動いてくれるわ。」

先生は満足げに微笑んだ。

「…さて。では予言しましょう。次にあなたは『でも、昨日頑張ったから、明日からやろうかな』…と言うでしょう。」

先生は少し意地悪そうに笑った。

「『でも、昨日頑張ったから、明日からやろうかな』…ハッ!!先生、まるで占い師じゃないですか!」

マヤは驚いて声を上げた。

「うふふ、よくそう言われるわ!さぁ、帰ったらもう少しだけ頑張って早めに寝なさい!」

先生は優しく背中を押した。

「はい!頑張ります!」

マヤは元気よく答え、レオくんに別れを告げて事務所を後にした。

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