運命の輪〜最悪の気分でも諦めない!運命が回り出す副業編〜

タロットカード「運命の輪」
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雨がしとしとと降り続く夕方、マヤは傘をさしながら先生と一緒に商店街を歩いていた。道行く人々は急ぎ足で、車のタイヤが水たまりをはねる音が聞こえる。

「最近うまくいかないことばっかりなんです」とマヤはため息混じりに話し始めた。「仕事は苦手な作業ばっかりくるし、ミスばっかりで上司から怒られるし。雨は降るし、犬から吠えられるし、ポストは赤いし。」

先生はマヤの隣で歩きながら、ふと微笑んだ。(ポストは関係ないんじゃないかしら)と心の中で思いつつも、優しく問いかけた。「そういえばマヤ、あなた前に言ってた副業のハンドメイドの件、始めたの?」

マヤは足元の水たまりを見つめながら首を振った。「どうせ私なんて、何をやってもダメなんです。ハンドメイドはもう先にやってる人もたくさんいるし。材料費もかかるし。うまくなるまで時間がかかるし。やったって、どうせ誰も買ってくれないですよ。」

話しているうちに、突然車が水たまりを通過し、マヤの足元に水しぶきが飛んだ。「あー! 車に水かけられた! もうサイアクだぁ…」マヤは悲鳴を上げ、濡れたスカートを見下ろした。

先生はハンカチを差し出しながら、「まぁ、そういう日もあるわよ」と慰めた。「向こうで商店街のくじ引きをやってるわ。券を持ってるから回してみなさい。」

マヤは肩を落としながら答えた。「先生、今の私じゃポケットティッシュも当たらないですよ。私には鼻かんだ後のゴミクズあたりがお似合いなんです。」

先生は微笑みを浮かべ、「いいからいいから。あのガラガラが【運命の輪】だと思って、思いっきり回してきなさい。」

「運命の輪?」マヤは顔を上げた。

「そう、正位置では【変化や好転、チャンスの到来】を象徴する【運命の輪】。逆位置では【予期せぬ困難や停滞】を意味するの。運が悪い時は、そこがどん底だと思っていいのよ。あとは上がるだけ。運命の輪は、絶えず回り続けているものだから、どこかでまた良いタイミングが来るの。」

先生の言葉に少し元気を取り戻したマヤは、商店街のくじ引き会場に向かった。カラフルなガラガラ抽選器が目に入る。店員が明るい声で迎えてくれた。

「店員さん! 一回お願いします!」マヤは勢いよく声をかけた。

「はい、どうぞ!」店員が笑顔で答える。

「え〜い、ままよ!」マヤはガラガラを力いっぱい回した。抽選器は心地よい音を立てて回転し、玉が転がり出てくる。

「…あっ、赤!」マヤの手のひらには赤い玉が乗っていた。

店員は大きな鐘を鳴らし、「カランカラン! 大当たり〜!」と声を張り上げた。「景品は2等の最新式ミシンだよ! おめでとう!」

「ウソ〜っ! 当たった?!」マヤは目を丸くし、驚きと喜びで声を震わせた。

先生がそっと近づいてきた。「ほら、運命の輪が回り始めたじゃない。」

マヤはミシンを見つめながら、笑顔を浮かべた。「そうだ! 先生、私これを使ってハンドメイドの副業をやってみます! 私、実家にいた時ミシンを使って小物を作るのが得意だったんです。今度は成功間違いなし! もう準備もバッチリ、やる気も全開!」

先生は満足そうに頷いた。「そう、いつもの調子が戻ってきたじゃない! さぁ、雨も上がったわ。傘は持ってあげましょうね。」

マヤは空を見上げた。雲の切れ間から太陽の光が差し込み、虹がうっすらと架かっている。「先生、ありがとうございます! あれっ、このミシン重たっ! でもこれは幸せの重みぃ〜〜〜〜!」

先生は笑いながら、「その幸せ、腰に来ないように気をつけなさいよ」と冗談めかして言った。

マヤは笑顔で頷き、新たな希望を胸に抱いて歩き出した。商店街の人々のざわめきや遠くで聞こえる子供たちの笑い声が、彼女の心をさらに明るくしていく。

「先生、本当にありがとうございました。これからは自分を信じて頑張ります!」

「ええ、その意気よ。運命の輪はあなたの味方よ。」

二人は並んで歩きながら、未来への期待に胸を膨らませていた。足元の水たまりに映る空は、もうすっかり晴れ渡っている。

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