星〜お金のためだけじゃない!自分の輝く瞬間編〜

タロットカード「星」
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冬の冷たい風が、夜の静けさを一層際立たせている。マヤは窓を少し開けて、自宅の部屋の換気を始めた。

「ちょっと換気しよ〜っと。うう、寒い。」

彼女は身震いしながら、外の夜空に目をやる。空には無数の星が瞬いていた。

(…星がキレイだなぁ〜。流れ星でも流れないかなぁ〜。)

そんなことを考えながら、マヤは窓際に立ち尽くす。冷たい風が頬をかすめるが、その冷たさがかえって彼女の心を落ち着けてくれるようだった。夜空を眺めていると、なんとなくセンチメンタルな気分になってくる。

ふと、彼女は考えた。

(流れ星が流れたとして、今私は何をお願いしたいだろう。)

思い浮かぶのは、先生と出会ってからのことだ。占いをきっかけに、お金の増やし方を学び、コツコツと努力することが実を結ぶのだと知った。そして、その努力の中で少しずつ成果が見えてきた今、ふと疑問が湧いてくる。

(でも、長い時間を掛けてお金持ちになることができたとして。結局私はどうなりたいんだろう?)

マヤは窓を閉めて、部屋に戻る。最近のことを思い返してみる。副業も楽しくなってきて、仕事以外の空き時間は副業にあてることが多くなった。まだお小遣い程度の収入だが、本業以外の収入を得られるようになってきた。節約もできて、無駄なお金の使い道を無くすことができている。

(積み立ててきた投資信託も徐々に額が増えてきて、金額を見るのが楽しくなった。でも、今の生活をずっと続けて行った先に、いったい何があるんだろう?)

マヤはテーブルに座り、目の前のコーヒーカップをじっと見つめる。心の中で自問自答を繰り返す。

翌日、マヤは悩んだ表情で先生の元を訪れた。

「先生、最近、なんだかモヤモヤしてて…」とマヤは切り出した。

「お金を貯めるのも、副業をするのも、確かに楽しいし、やりがいを感じるんです。

でも、私は何が好きで、何が得意で、どうお金を稼いでいけばいいのか。

結局私は何になりたいのか、全てがわからなくなっちゃったんです!」

先生はマヤの話を静かに聞きながら、ふと窓の外を見た。

夜空には、美しい星がきらめいている。

「今日の星空は、まるでこのカードのようだわ」と先生は微笑みながら言い、星のカードを取り出してマヤに見せた。

「正位置の星のカードは、新しい希望や光が見える時を意味しているの。たとえ今が暗い時期でも、未来に対する信念と希望を取り戻し、癒しと再生のプロセスを始める準備ができていることを示しているわ。これは、過去の困難を乗り越えた先に見える光なの」

先生は少し間を置いて、さらに言葉を続けた。

「でも、逆位置になると、希望を見失ったり、将来に対する不安や迷いが強くなる状況を表すの。自己不信に陥り、自分の価値や目標が見えなくなることもあるわ。そのときは、自分のビジョンを見直し、どこで希望を見失ったのかを内省することが必要よ」

マヤは真剣な表情で先生の言葉を聞き、自分が今何を求めているのかを考え始めた。

先生は、考え込むマヤを見ながら、「まずは、自分が少しでも興味を持てることに挑戦してみるのがいいわ。新しい趣味を始めたり、ボランティアをしてみたり、興味のある分野の本を読んだりしてもいいわね。そこから何か見つかるかもしれないわ」と言った。

数週間、マヤは先生のアドバイスに従い、自分の興味を探すために色々なことを試してみた。料理教室に参加したり、読書会に顔を出したり、地域のイベントでボランティア活動をしてみたり。すると、自分が好きだったことや興味のあることに少しずつ気づき始めた。

ある日、再び先生の元を訪れたマヤは、晴れやかな表情で話し始めた。

「先生、いろいろ試してみて、やっぱり私は人に何かを教えたり、サポートするのが好きみたいです。お金を稼ぐためだけじゃなくて、こういう活動で誰かの役に立てるのが嬉しいんだって気づきました!」

先生は優しく微笑みながら頷いた。

「素晴らしい気づきね、マヤ。教えることやサポートすることは、あなたの得意なことでもあり、喜びを感じることでもある。

お金はその結果としてついてくるものなのよ。

大切なのは、あなたが何をしているときに一番輝けるかを見つけることなの」

マヤは深くうなずいた。

「そうですね…。これまでの私は、お金を増やすことばかり考えていて、本当に自分が何をしたいのか、見失っていたのかもしれません。

でも、今回の経験を通じて、自分が好きなことをして、誰かの役に立てることが本当に嬉しいと感じました」

先生は星のカードを手に取り、マヤに見せながら語りかけた。

「マヤ、この星のカードが示す希望の光は、外から与えられるものではなく、自分の中にある光を見つけることなの。

これからもその光を頼りに、自分の道を信じて進んでいってね。

迷ったときは、この星のカードを思い出して」

マヤは星のカードをじっと見つめ、その意味を噛み締めた。先生の言葉が心に深く響く。

その夜、家に戻ったマヤは再び窓を開けて夜空を見上げた。冷たい風が頬をかすめるが、今はもうその冷たさが気にならない。空には無数の星が輝いている。

(私の中にも、きっとこの星のような光があるんだ。これからも、自分が本当に輝ける道を見つけていこう)

これからも不安や迷いはあるかもしれない。でも、星のカードが示してくれたように、希望を探し求めることをやめなければ、その光は必ず見えてくる。

星がきらめく夜空のように、彼女の心にも新たな希望の光が静かに灯っていた。

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